株式会社カヤック

優良企業視察バスツアーの続きです。


以前の記事はコチラ

前回株式会社ライトアップ
前々回株式会社ハーレーダビットソンジャパン
前々々回株式会社オロ


先日の記事「面白いって素晴らしい!Fun is Wonderful!」でもご紹介させていただいたカヤックさんですが、改めてご紹介させていただきます。

カヤックさんロゴマーク

カヤックさん(http://www.kayac.com/)はWebの世界で受託開発や自社サービスを手がけている会社で、古都鎌倉に本社を構えながら年商10億に達する優良企業です。でも、一言で言い表すと、「変な会社」ということで済んじゃいますw


そしてコンサルタント泣かせです。どんな会社を視ても「できる理由を見つけましょう」、「良いところを見つけましょう」をクリニックの合い言葉としていた船井総研コンサルタントも、思いっきりトーンを落として、「カヤックさんはあまり参考にしない方がいいです」と言わしめるほどです。 って、それじゃ説得力ないw



コンサルティングファームを鼻紙にしてしまうカヤックさんの"変"さを挙げてみましょう。

まず、名前の付け方からして変です。

「面白法人カヤック」と謳っています。「おもしろ法人」で検索してトップに来るので、カヤックは世界一おもしろい法人なんです。とかなんとか妙なことを誇っているようです。

会社の場所が変です。

鎌倉というのもちょっとすごいですが、鎌倉八幡宮の参拝道路沿いにあります。あんなとこにいたら、年中宴会するしかないじゃないですか。おまけに「旅する支社」とか言って、イタリアで仕事もしてみたそうです。ネットがあればどこでもいいじゃんということらしいです。

職制が妙です。

職種はプログラマー、デザイナー、ディレクターの3種類しかないそうです。ものすごいシンプルです。社長も通常はディレクターの仕事をしているそうです。

営業はいらないのかって? 売上的に見ると受託:自社=6:4くらいだそうです。デザインの仕事は毎年賞をとっているくらいレベルが高いので、営業なんかせずともオファーが入るそうです。

給与方式が妙です。

「サイコロ給」というのがあります。毎月給料日前にサイコロを振って、「(サイコロの目)%×基本給」が、給料の+αとして支給される制度です。「運も実力のうち」ですもんね。なんか私なら毎月「1」を出しそうな気がします・・・。

集めてる人が変です。

http://www.kayac.com/recruit/henjin。コメントは要りませんね。入ってみたいけど、私のような一般ピープルは誰も推薦してくれそうにないので諦めます。

やってることが変です。

  • GENKI玉プロジェクト(http://sparkball.kayac.com/)。アイディアにお困りの方に1口1,100円で11個のアイディアを提供します。1アイディア100円。これ絶対利益でないですよね…。そういえば、カヤックさんが出している本、「WEBで一発当てる方法」というのを買ってみたんですが、GENKI玉1発無料券がついてました。試しに何かお願いしてみようかなぁ…。
  • ビンボーゆすりを科学したプロダクト(http://bbu.kayac.com/。とにかくウリ文句が凄い。

「揺すりのエヴァンジェリスト!」

「YUREXをMacWindows PCにつなぐだけで、カウントされたビンボーゆすりがyurex.jpに自動的にアップされます。yurex.jpは、世界のユスリートたちが集う場。あなたのビンボーゆすり回数の世界ランキングがわかると同時に、ワールドユスリートマップでは世界中のユスリートたちが今どこでクリエイティブビートを発生させているのかを確認することができます。」

バカバカしさには脱帽です。いったい誰が買うんだろう・・・(でもちょっぴり欲しかったりw)。

ウチのボスに接続したら、世界最高のユスリートになれるかも?(きっと休日出勤のときは揺すりまくってるはず)

単に感謝の言葉を掲載して、元気を発信して元気をもらおうというサイトです。広告もないし、場を提供しているだけで売上もありません。楽しいからやってるそうです。

今、一押しの携帯コンテンツだそうです。かわいいとも見えるが、見ようによっては・・・卑猥・・・? ネーミングもしっかりと意図しています(「逆さから読んだらそのまんまですね〜」って自分で言うなっ! 社長!)。このサービスを出すかどうか社内でさんざん議論したときに、「うちはこんなことやる会社なんですか!」と言った女子社員もいたとか・・・。

  • ネットの世界で閉じないこともやってます。

「どんぶりカフェ」経営してます。食のメディアにもとりあげられています。HPを覗いてみましたが、フツーにおいしそうです。食べたいです。会社の紹介もここでやったそうです。社長が、自分が運営したかったと悔しがっていたとか。

  • 絵の測り売り(1cm2=5円〜)もやってます。

画家にも結構好評なようです。確か自由が丘にて実店舗を出してたはず。ゴールデンウィーク中にいってみようかなぁ。

やっていたことが変です。

  • 「超能力ラボ」という妙な組織つくって超能力の実験やってました。

スプーン曲げです。リアルタイム撮影してWebで公開しているスプーンに対し、全世界の超能力者に曲げてみてくれと発信しました。結果・・・曲がらなかったそうです。まあ、普通でしょう。でも柳澤さん曰く、「曲げる方向を指示しなかったから、かちあっちゃって曲がらなかったんだ」とか。おいっ、違うだろう、それ!w

それに懲りたのか、透視実験として伏せた紙の裏に描いてある模様をあてるという実験をしたそうです。これは結構正解に近い模様を描く人がいたそうです。で、結論として超能力は存在すると・・・。(http://esp.kayac.com/index_archives.html
で、、、どうビジネスに・・・。単に興味があっただけなんだろーなぁw

  • MTP。なんかかっこいい名称だけど「Megane Transfer Protocol」・・・要は「メガネ交換サービス」です。

あなたのいらなくなったメガネ交換しませんか? って新年福袋の交換会のノリかいな。さすがにそれは無理があるのでは・・・と思っていたら、案の定、一度も使われなかったそうです。


とにかく製品やサービスの累々たる屍の山。どう考えてももうからんやろうというものをしっかりと作り込んでいる。普通、そういう失敗プロジェクトってあまり表に出したがらないもんですけどねー。できの悪い子を見るかのように、嬉しそうに紹介しております。まあ、できの悪い子ほどかわいいって言いますしね・・・。

で、これだけの膨大な失敗プロジェクトを抱えていながら、しっかりと成長し、しっかりと黒字を出している。なんでやねんとなりますよね。当然、一般ピープルはその秘訣はなんだと代表の柳澤さんに質問するわけです。


一般人:
「企画から製品化に踏み切る際の条件を教えていただけますか?」


柳澤さん:
・・・(しばし、沈黙)・・・「いや、別に何も考えてないんです。とにかくおもしろくてユニークだったら作ってみちゃえと。まあたまたま売れたら製品として成り立つって感じですかね。」


一般人:
「・・・・そうですか・・・ありがとうございます」


…参考にならねぇ!w。マーケッティングなんて洒落た言葉はカヤックさんには不要なのでしょう。



こう見てくると、いろんなことをいい加減にやってる会社に見えますが、実はその中にもしっかりしたポリシーがあります。

  • ユニークさ(個性)にこだわります。

  何かで一番というのを大事にします。

  • クリエイションにこだわります。

  0から1が仕事の領域だそうです。作った後の運用とかは仕事にしていません。
  そのため、どんな儲かってるサービスでもさっさと売っちゃいます。

  • 「つくる人を増やす」ことにこだわります。

  セミアマの画家が作品を売れる場を作ったり、建築家のコンペができるような場を提供しています。


まあホント楽しそうな会社に思えますね〜。でも、まあこれは予想ですが、反面ものすごい厳しさがあると思います。まず採用の段階が厳しいです。採用8割、仕組み2割と言っていました。採用にものすごい時間をかけるようです。ユニークさとクリエイト能力を重要視するだけでなく、一緒に仕事をしたいかというキャラクターもかなり重要視するようです。


能力はかな〜り高いものが要求されると思います。

企画的な面では、次から次へとアイディアを出すことが求められます。ブレインストーミングもかなり頻繁にやっているようです。デザインに関しては数々の賞を受賞いるくらいですから、そのレベルの高さは折り紙付きでしょう。プログラムに関しても市場ニーズなんか深く考えずに作成に入るようですから(笑)、それらを作成するスピードはたぶん桁違いのものでしょう(でなければ、あれだけの数の失敗作をこしらえることはできないはず)。

感想

こんな変な会社がしっかりと黒字を出して成長してるなんて、なかなか日本も素敵じゃない!IT業界も捨てたもんじゃないなぁーと思ったり。こんな会社やってみたいな〜。
どーせやるなら何事も楽しんでやりたいですよね。

いやしかし、一般企業がカヤックさん真似できるかというと…。なかなかあれですね。
こういうことやるには、自分でそういう会社作っちゃうぐらいの勢いがないとダメかもしれないと思いました。

とにかく今、私の中で大注目の企業です。